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ホーム > みどりのさと > 第10話 ~田原の里に残る両墓制~
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子どもの頃、祖母の葬儀で、故人の食事をお墓に運んだ

今から60年ほど前、確か私が小学校2年生の頃であったと思うが、祖母が他界した。
子ども心に覚えていることがある。
座敷におかれた棺桶は丸く五右衛門風呂のような形をしていて、祖母の遺体は座った状態で収められた。お葬式の日には、その棺桶を親類縁者が担いで墓地まで行くのだが、その前後を多くの人が墓地まで見送る。そして、私は、これはかすかに覚えているのだが、天秤棒の前と後ろに死者の食事のようなものを入れた箱を担いで、列の前の方を歩いて墓地まで行った記憶がある。
  迎え地蔵の前を通り、墓地に着くと、小さな館のまわりを何回かまわり、土葬する場所に向かうのであるが、後で聞いたところ、この動作は死者が成仏してあの世に行けるように、この世に最後の別れをする儀式とか。
この頃、私の隣組は14軒で、仏事の際は同行(どうぎょう)として、葬儀の一切を取り仕切る。
だから、この時も、祖母の入った棺桶を埋める穴は、恐らく前日だったと思うが、全員で掘ってくれた。座棺がすっぽり入る穴だったので、相当大きく、深かった。
子どもの頃、墓参りと云えば、行ったのはこの墓ではなかったので、どことなく薄気味悪かった印象が強く残っている。
  この時は知らなかったが、田原の里には、各字に墓地があるが、それぞれ二つあったのである。一つは普段お墓参りをするお墓、今一つは故人を土葬するお墓である。
土葬するお墓は、葬儀があると、いたるところを掘り返し、埋めるので、墓地全体の足元が悪く、柔らかい土壌で、時には場所によって、足が“ズボー”と、はまり込むこともあった。また、普段人があまり近寄らないこともあり、古くなった塔婆などがここかしこに散乱して、どことなく怪しげな雰囲気を醸し出している場所でもあった。  それに比べ、普段お参りする墓地は、立派な石塔が立ち並び、花も供えられ、掃除も行き届き整然としていたと記憶する。
特に、我が家の石塔の建つ場所には、吉野から持参した吉野川の河原で取れた丸い石を基礎廻りに使っていたので、ひときわ目立っていたことを覚えている。
(写真:改装なった照涌野田共同墓地の六地蔵とその後ろに見える十三仏)

◆「単墓制」と「両墓制」

このように、普段お参りするお墓と、故人を葬るお墓が別々にあるお墓の形態のことを「両墓制」という。
普通、死者を葬った場所に墓碑を建て、そこを永久に祀りの場とするのを「単墓制」と呼ぶ。両墓制は、死者を葬った場所は比較的短期間祭をするだけで近寄ることもせず、祭をするための墓地を別に離れた場所に設けるのである。
墓制の一般的な形態は単墓制で、両墓制を残す箇所としては全国に70か所が報告されている。そして、田原地区は、下田原に5か所、上田原に4か所の墓地があるが、月泉寺の五輪塔・卵塔墓以外はすべて両墓制の形態をとっている。
田原では、第一次墓地をオバカと呼び、場所を意味する野墓(のばか)の転化したものか、埋葬を意味する御墓(おばか)の意味と云われている。また、第二次墓地をタチバカと呼ぶが、祭場として石碑を建てるところから、建墓(たちばか:立墓)と呼んだようである。そして、普段お参りするタチバカが人里に近く、オバカがより遠く離れているのが一般的である。
私が、祖母の葬儀に食事を運んだ墓地は、オバカという事である。

墓地で、野球やサッカーをする世に

では、両墓制はどのようなところから生まれたのだろうか。
両墓制は、死の穢れを忌み避け怖れるところから起こり、淨霊を別の浄地に祀ろうとする観念に起因するものでないか、といわれている。
第一次墓地をウメバカと一般呼称するように、土葬地帯に特有な墓制であって、私が子どものころに見た照涌・野田地区のオバカのように、卒塔婆や埋葬目的の自然石が濫立するのを通例としている。
しかし、時代の流れとともに、土葬から火葬に代わり、私の住まいする照涌・野田地区の共同墓地も、共同墓地管理委員会が全面改装を行った結果、第一次墓地・第二次墓地の別はなくなり、今は両墓制の風情を見ることはできなくなってしまった。
週に何度か、愛犬の散歩で墓地を訪れるが、改装した墓地の一部は整地されたままの状態で、田原台ニュータウンの子ども達や親子連れなどが、野球をしたり、サッカーに興じている。時には、休憩所の東屋の一角で火遊びをする子どもたちもいるようだ。
ニュータウン建設は、田原の里の風景を大きく変えたともいえる。

2016.12.20

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